今では想像つかないピンポン録音の話

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今はAudacityとか使えば何トラックでもタダで録音できちゃいますが、それがかなわなかった遠い昔。

こんにちは。imoimoです。

Pro Toolsとか使わなくても今はタダで何トラックでも録音できて、なんと便利な世の中になったのかと思います。しかも素材とかループとか言って、弾かなくても録らなくても切り貼りで音源が結構作れちゃう。て言うかこっちが現代の製作技法の主流かもね。

遠い昔、お小遣い月1000円だった少年imoimoには、このトラック録音ができるMTRなど買えるわけもなく。テレコ(死語)が2台あったので、これを再生と録音に分けて途中にミキサー入れて音を重ねる、てのをやったわけです。

まず、アップライトピアノがあったんでフタ開けた中にマイク突っ込んで録るわけ。当時はピアノと言えばヤマハかカワイ的な感じで、勿論生ピアノ。グランドピアノはガッコにしかなかった。

エレピの名機YAMAHA CP-80が出るのはまだ先の話。あれだって中身は生ピアノですけどね。

そうそう、こんな感じ。これが出た頃、どの練習スタジオにも競うように入った。ただし別料金。ちなみにその頃の練習スタジオてのは、アンプはフェンダーのツインリバーブまたはローランドのジャズコ―ラスどっちか、てのが主流で、どっちもある所は少なくて、マーシャルとかは別料金だった。キーボードは基本なし。フェンダーのローズが置いてあるとちょっと高いスタジオだった。シンセはあっても全て別料金。マイクは2本まで。て感じ。ただしタバコも酒もお菓子もやりたい放題だった。そしてスタジオのオーナーさんはおおむね演奏に辛口だった。

で、その録音したピアノを再生しながら、もう一台で録音回して重ね録りでシンセを入れるわけ。当時ディレイやエフェクター類を全く持っていなかったので、これまた一度スピーカーから音出して、部屋の自然反響込みでマイク録りする、て言う何のためのシンセなんだか本末転倒な録り方。

で、もう1パートシンセを重ねる頃から、再生の音が何やらモゴモゴ言い始めるわけ。一つはテープの宿命音質劣化。LPFを何段も直列でかましているのと同じですからね。もう一つはモーターが回す録再なので、微妙に揺らぎがあるわけです。ワウ・フラッターてヤツですね。デジタルの現代ではちょっと考えられませんが、続ける内に音が「ファインディング ニモ」で出て来るクジラ語(と言うか室井滋さんの話術)みたいになって行くのです。

で、もう限界だ!と。それでも「やりたい」が先なんで高島屋で厳選したトイピアノを「あと1回だけ!」的に最後に重ねておしまい。

再生すると、お化け屋敷みたいな、ひょろひょろ言うくぐもったピアノ伴奏に合わせて、シンセがメロディ鳴らしてるのだけど、毛布3枚かぶったような音。そしてオカズ的なメロディとサブメロディが入っているのだけど、こっちの方が後から重ねたからやたらと目立つ。そして最後に録ったトイピアノだけが超リアル。録る順番逆にすればよかったと後悔しても後の祭り。ピンポン録音て言うのは完全に不可逆的なものですからね。時折入る鳥の声や新聞屋さんの音。これはこれで味、てものとする。そんな人生初多重録音でした。

これ結構面白くてのめりこんで行く内に、MTR欲しい。エフェクター欲しい。せめてライン録りしたい。と思い始めたのでした。この頃出始めた庶民用のMTRはバカ売れしたけれど、同じ思いの人多かったんだろうなと思います。

そうそう、こんな感じ。これは高い方のヤツですね。YAMAHA MT-4Xみたい。TEACの方が少し安いのからあった気がする。これは何たって4トラック独立だから、4パート入れても劣化しませんからね。とは言えあくまでMONOでの話です。まあ当時はまだ働けなかったので一生買えないモノリストに入っていました。

今ではそもそもピンポン録り自体が不要となりました。結構最近までは普通にありましたが、デジタルに移行した恩恵の一つですね。世の中便利になったものです。

そんなこんなでお粗末様でした。

むかしばなし
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