桜が早めに咲いたねぇと思ったら満開前に雨降り予報。この頃よくあるパターン
こんにちは。imoimoです。
てきとーな製作をやっております。
一番上の老婆猫仔が悪性リンパ腫。一昨日とうとう逝ったのでちょっと作業は中断中。
誰かの参考になるかしら、と顛末をまとめております。
←【前編】
3ヶ月ちょっと前
なんだかやたらと吐く様になって。元々少食だったけれど全く食べなくなっちゃった。痩せても来たしね。
毛もバサッとしたのでこりゃ病気だねと受診したら、とにかく脱水が酷いと言う事で毎日点滴に行く事になりました。
血液検査とエコー検査で胃と十二指腸の間あたりの胃壁が分厚くなっているのが見つかって。
とびっきりの胃潰瘍。見た感じは消化器性悪性リンパ腫だけど、本当に悪性かどうかは組織を取らないと分からない。
組織を取るのに確実なのは開腹。要するに手術ね。
開腹する、て事は組織を取るだけでなく悪いところ全部取れるって事。と言う事は良性とか悪性とかはどうでも良い話。お腹を開けた後で悪性でしたってわかるわけじゃない?とすると術後の参考にはなるけれど現時点では取っちゃうために開けるって話だよね。
こちとら小兵の老婆。体重も2kgそこそこまで落ちていて脱水じゃあ手術に耐える体力があるとは思えないのよ。
とは言え、ドクターとしては確実に病因を特定して手を打ちたいから確証が欲しいのも分かるし。
この辺で結構議論になりました。
要するに病気を治す事に全力で挑戦したいドクターと、治療の負担に耐えられる気がしない飼い主との意見対立ね。
見立てとしてはリンパ腫。それも悪性だろうって事だけど、リンパ腫にも色々あるそうで。癌だろ?白血病みたいなもんだろ?みたいな認識ではラチがあかないので飼い主としても多少お勉強しないと方針が決められなくなりました。
練習も勉強も大嫌いなんだけど、付け焼き刃で少しは調べようと情報収集。
悪性リンパ腫て言うのは
要するに免疫細胞の癌。の様で。
ど素人的にイメージを持たなくちゃ、て言うのをまとめておきます。医学的には間違ってるかもね。
神経・血管みたいに体中に張り巡らされた第三の経路がリンパ。免疫細胞が通っていて、悪いやつが入ってきたらやっつけに行く警備回線みたいなのかしら。
そんな警備担当の免疫細胞が癌化して、自分の健常細胞を溶かして喰いながらバンバン増えてしまうのがリンパ腫。
そう考えると怖わっ!!自分が自分を喰うんだよ。
警備回線はそこら中にあるから、どこで自己破壊活動が始まるかはある意味予測不能。だから悪性リンパ腫は病変を取り除いても別な場所で再発する可能性が高くて、要するに治せないってことだよね。
癌化する免疫細胞の種類によってT型とかB型とかあるのだけれど。これらは比較的進度が遅いいわば歩兵隊みたいなヤツら。
ナチュラルキラー細胞って言うのも居て、こいつは結構機動的でいわば海兵隊みたいなもんかしら。こっちが厄介だとも聞きました。T型とかナチュラルキラー細胞のリンパ腫は胃とか消化器系で発症する事が多いみたい。
高分化型とか低分化型とか言うのもあるそうで。高分化型は進行が遅くて、低分化型は速いんだってっ。言葉のイメージとは逆に高分化型の方が余命が伸びるのね。
記事を見ると、たいてい「非常に予後が悪い」みたいにふんわり書かれているけれど。はっきり言って死病って事でしょ。
医学にはまだまだ直せない病気が沢山あって。何しろ「急性」なんちゃら、て呼ばれる奴は要するに「何故だかは分からないけど具合が悪い」て事だしね。研究にお金がヒト程は回ってこない獣医界隈なら尚の事。
でもドクターは治せないってハッキリ言わない。なぜなら治った例もあるから。どうして治ったのかが今のところ分からないから癌でもあるのだけど。
別な獣医さんが自分のサイトでも言ってたけれど。
「癌は治るときは治る、治らない時は治らない。だから癌」。
その通りみたい。ドクターも大変だねぇ。
どうして胃壁が分厚くなったのかと言うと、暴走した免疫細胞が自分の健常細胞を溶かして食べて増殖して死んで。これがハイスピードで発生しているから、無限に擦り剝けてかさぶた出来てまた擦り剝けてみたいな状態なのかも。あるいは無限に火傷してただれてまた火傷してみたいな状態。
そりゃぁ気持ち悪いし痛いし飯食う気にもならないわな。
この結果、胃壁が死んだ細胞のカスで分厚くなるから動きも悪くなって吐きまくったと言う事みたい。
一方で、分厚くなった胃壁は古くなったガスホースみたいにカチカチだから裂孔と言って裂けやすくなっているのです。これが厄介。
胃の側で破れたら胃酸が腹腔内に漏れるからヤバい事態になります。いわゆる胃穿孔。腸の側で破れても、要するにウンチがお腹の中に漏れちゃうのだからヤバい事に変わりなし。
向き合うことになった現実をまとめてみると、
- 基本的に治らない。
- 脱水で衰弱して死ぬか
- 潰瘍性出血で貧血が進んで死ぬか
- 胃か腸に穴が開いて死ぬか
- 胃の出口が塞がって栄養失調で死ぬか
- 手術の過程で体力が削がれて死ぬか
- 麻酔や抗癌剤の副作用で死ぬか
逃げ場無し。
もしも若くて体力のある、初期段階で発見していたら選択肢は恐らく一つ。
手術。病変を摘出する。
それでもいつ再発するか分からないからその後の闘病はまたよく考えなくちゃならないとは思います。
実際に10歳で6kgくらいある男の子が似た様な症例で手術を受けて。でも術後体力が戻らず2週間で亡くなった例とかを見てしまったので、とてもじゃないけど2kgガリガリの老婆には手術は無理だと言うのが飼い主としての結論でした。
治療方針は
積極的敗北主義で行こう、と言う事に話し合いは落ち着きました。
治らない。対症療法的に辛い所を緩和して、なるべく苦しくなく最後の時を過ごしましょうと言うのが基本方針。
そのため、
- 脱水を解決するための毎日皮下点滴
- 吐き気止めの投薬
- 胃酸を抑える薬の投薬
- 胃壁を守る薬の投薬
- 赤血球を作るのに必要なビタミンB12等の投与で貧血を緩和する
- とにかく食べて体力をつける必要があるから食欲促進剤を投与
を実施する事にしました。
一応一度だけ内視鏡検査を入れて組織を取ったけれど、結局組織が壊れていて悪性なのかどうかは確定できませんでした。高分化型とか低分化型とかも分からなかったけれど、事ここに至っては悪性リンパ腫前提でやって行くしかないって話。
調べている暇があったら動けってぇはなし。現場主義的ね。
この頃の記録が【第一稿】にもあります。
現実的なネックは
第一に、毎日通院できるのかってぇ話。
第二がいったいいくらかかるのかって話。
猫のいる家がみんなお金持ちだと思ったら大間違いよ。
毎日通院は、仕事をしていたら結構ハードルが高いです。
皮下点滴や投薬はせいぜい1日3000円か5000円だけど、仕事に穴が開くのは別途ダメージ。
病院は徒歩圏内とは言えなにぶん12月だった事もあってタクシー。車を持っていれば問題は無いけれど、この辺もチリツモでオカネが掛かります。
通院できないなら入院させることになるだろうけれど、これはペットホテルと同じだからかなりおカネがかかる事になります。
保険に入っていればまだ良かったねぇ、と言うのが反省点。他の2頭は速攻で保険に入りました。
お正月を迎えられるか否かと言うくらいの短期決戦の見通しでしたが、食欲促進剤やら何やらでガツガツ食べる様になって体重も戻り始めて。桜を見ようね、と言う目標変更を行えることになりました。
今回の老婆の様な復活はあまり例のない事だそうで。
だいたいのケースは体重がガクッと落ちる程に症状が進んだ場合は2週間程度の予後だそうです。老婆の生への執着、恐るべし。さすがは家庭内でバイタル最強の一番上だけの事はありました。
結局、本人のやる気が一番かも知れません。
ドクターも飼い主も、本人のやる気がある内は支えましょうと言う事になりました。
それなら抗癌剤を使おうか、と言う話になったのが年も暮れる頃。短期決戦から少し長期戦の構えに変更です。
でもさ。抗癌剤ってのは結局治らないのに副作用がつらいんじゃないの?と言うのが人間界の常識。
今回使うのはロイナーゼと言う抗癌剤。
L-アスパラギナーゼとか言う、癌細胞が必要とする栄養素を阻害するタイプのもので副作用も控えめだけど効かなくなるのも早いものでした。直すと言うよりは進行を遅らせて胃を柔らかくして食べられる様にしましょうと言う趣旨で使う事にしました。
何十万もするのかと思ったけれど薬代は数千円。入院と投薬前検査含めて2、3万でした。
そうは言っても、結局毎日5000円ちょい通院にかかるから現状維持でも単純に月15万程度かかります。入院治療だったら更に倍くらいかしら。
と言うわけで今回の作戦に用意したのはだいたい100万。これ以上は使えない、と決めて当たる事にしました。
予算を使い切った所で他の誰かがもしも重病になったらアウトだね、と言うリスクもあるので並行して他2頭の健診も行う事にしました。
あ。人間の事忘れてた。
抗癌剤は3週間おきに打つセオリー。
第1回の投与で胃が柔らかくなり始めて、実際に体重も増えて便通も良くなって来ました。こりゃ治るかも?と思ったくらい。ただ。抗癌剤が効いたと言う事であらためて悪性リンパ腫、確定。いまさらね。
3週間経って、第2回目も初回ほど効果は実感できなかったけれど経過良好。
この頃辺りの記録は【第二稿】にもあります。
ドクターも飼い主も、これは行けるゾってんでちょっと油断した第三回目の投与後にガクッとバイタルが落ちて一度危篤みたいになるのですが。その後の奇跡の再復活は後編にて。
そんなこんなでお粗末様でした。
→【後編】
←【前編】
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